神の庭を訪ね、その後背の尾根道を歩く 笹倉(さぞう)湿原・丸笹山(1,535m)
愛媛県上浮穴郡久万高原町・高知県吾川郡仁淀川町
2016年6月18日(土) 門久単独
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〈神の庭・笹倉湿原〉 |
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石鎚山系の筒上山の山懐にあるという全面ウマスギゴケで覆われた笹倉湿原を見に行くこととした。
神の庭とも称される美しい所で、梅雨のこの時期が特に良いという。
湿原見物だけなら半日もあれば下山出来るので、その後背の筒上山から西に延びる尾根筋にも足を延ばして
笹を掻き分けながら少しばかり探索してみた。
《山行記録》
金山橋詰駐車場7:25・・・・7:27金山林道入口・・・・7:41砂防ダム下・・・・7:45登山口7:48・・・・8:10渡渉・・・・9:05風呂釜(渡渉)・・・・9:11笹倉(さぞう)湿原9:28・・・・9:55尾根上9:57・・・・10:15ピーク(1,570m余)10:39・・・・10:51丸笹山(1,535m)(好展望地)10:55・・・・11:13ピーク(1,570m余)・・・・11:33尾根(下る)・・・・11:51笹倉湿原11:52・・・・12:02風呂釜(昼食)12:23・・・・13:21登山口・・・・13:26砂防ダム下・・・・13:41金山林道入口・・・・13:43金山橋詰駐車場 〔総所要時間:6時間18分、昼食・休憩等:1時間12分、正味所要時間:5時間06分、歩行距離:8.8q、累積標高差:±1000m〕 |
7:25 金山橋詰駐車場
午前7時に開通する石鎚スカイラインで金山橋まで車を走らせて橋の北詰にある駐車場に駐車して山行を開始。橋の南詰にある金山林道入口から山に入った。かなり荒れ気味の林道であるが、しっかりとした踏み跡が続いていた。約15分で谷の奥の砂防ダムに行き当り、その下を渡ると林道は左の大きく曲折する。そのまま数分林道を歩いて行くと登山口に行き着いた。
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〈石鎚スカイランの金山橋北詰の駐車場に車を停める〉 |
〈橋の南詰にある金山林道入口から入山する〉 |
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〈林道は車両通行止め〉 |
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〈入口にある銘標〉 |
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〈コガクウツギが花盛り〉 |
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〈荒れた林道の踏み跡を辿る〉 |
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〈キイチゴが食べ頃を迎えていた〉 |
〈橋が流された砂防ダム下の沢を渡る〉 |
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7:45〜7:48 登山口
林道は小さな沢を渡って左に大きく曲がって更に先に延びているようであったが、沢を渡った正面に白い2枚の立て看板と「笹倉湿原→」と記した道標が立つ登山口があり、山道がその上の尾根に向かって延びていた。地形図によれば、山道はこの南側にある標高1,614mのピークの北尾根を1,420mほどの所まで登り、そこから東方向にトラバースして標高1,399mの窪地にある笹倉湿原へと下って行く。登山口の標高が1,050m程であるので、標高差370m程の登攀が待っている。登山道は概して笹を掻き分けながらの上りであったが、はっきりとした踏み跡が付いており迷うこともなく、またさして危険を感じることもなかった。登る程に現れるブナや樅、シャラ、杉などの巨木が特に印象的であった。
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〈登山口:林道を外れて山道に入る〉 |
〈真新しい標識が立つ〉 |
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〈檜の植林地を登り行く〉 |
〈立派な樅が林立する尾根筋を登る〉 |
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〈笹が被る登山道〉 |
〈渡渉点に立つサワグルミ〉 |
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〈ギンリョウソウの群生の中を登る〉 |
〈ヤマアジサイ〉 |
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〈樹間の高みに筒上山が覗き見えた〉 |
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〈ブナの巨木〉 |
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〈巨木の多い樅の林〉 |
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〈風格を感じさせるブナの老木〉 |
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〈シャラの古木〉 |
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〈シャラの林〉 |
〈落下したナツツバキ〈シャラの花〉〉 |
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〈沢筋にワサビの姿があった〉 |
〈ヤマシャクヤク〉 |
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〈高度を上げて行くと老杉の林となった〉 |
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〈かつて小屋掛けがあったのか、五右衛門風呂の釜が残る〉 |
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〈ワサビがある小さな沢を渡る〉 |
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9:11〜9:28 笹倉湿原
ゆっくりと巨木などの観察をしながら登ったので、コースタイム通り駐車場から1時間45分を要して笹倉湿原に着いた。視界の中に緑一色の湿原が現れた時には感動した。周囲を樹林で囲まれた数十メートル四方の湿原が全面緑色のウマスギコケで覆われている景観はやはり特異で、神秘的な感じであった。蝉が鳴くだけの静寂の中で、その神秘の世界に見入ってしまった。神の庭と呼んだ人の気持ちが分かるような気がした。梅雨の時期であるので、実は水に浮かんだ苔の姿を見ることを想定していたが、前日午後から天気が好転したこともあってか、湿地には水は溜まっていなかった。ドライは湿地も十分に見応えがあった。水に浮かぶ景色はまたの機会を期したい。
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〈笹倉湿原に到着〉 |
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〈水に浮かぶ湿原を期待していたが、乾いた姿であった〉 |
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〈倒木が苔の中に埋まる〉 |
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〈数十メートル四方の苔に覆われた湿原〉 |
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〈何十年の年月をかけてここまでになったのであろうか!?〉 |
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〈周りは樹林に囲まれた標高1,399mの窪地にある〉 |
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〈一面に生えているのはウマスギゴケ〉 |
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〈びっしりと岩を苔が覆う〉 |
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〈この特異な景観を求めて登山者がやって来る〉 |
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〈いつまでもこの姿が残ることを願う!〉 |
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9:28 筒上山縦走路登山口
笹倉湿原までのピストンであれば、昼頃には松山へ戻るようなことになるので、折角の機会であるので笹倉湿原の奥から筒上山へ縦走路が延びているのでその道で尾根上まで登り、途中の丸笹山I(1,535m)辺りまで探索してみることとした。このルートは登山地図では「笹倉、筒上山間塾達者コース」「原生林の稜線、ササ漕ぎ」とある。笹倉湿原の南側奥から笹原の中に踏み跡が延びていた。やや薄いながらも、はっきりとした踏み跡で、紅テープのサポートもあり迷う心配はなかった。コンパスをセットしたが、初動に使っただけであった。30分弱で尾根上に出た。尾根筋もほぼ笹の中で背丈より高い笹を掻き分けながら進んだ。尾根に乗って20分弱で小ピークの上に出た。正面に筒上山と手箱山を望み、山頂にはシャクナゲが咲き残り、ドウダンツツジが鈴なり状態で満開であった。ドウダンツツジの樹に登ってみると、石鎚山から堂ヶ森にかけての素晴らしい山岳眺望が得られた。当初ここが丸笹山だと思い込んでいたが、稜線の先を見ていると笹原で覆われた眺望の良さそうなピークがあったので、そこまで足を延ばすことにしたが、後で確認すると、このピークこそが丸笹山であった。
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〈笹倉湿原の南側の樹林の中に縦走路の登山口がある〉 |
〈縦走路を示す紅いテープ〉 |
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〈笹原の中に微かな踏み跡が続く〉 |
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〈急傾斜面を直登する踏み跡〉 |
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〈圧倒されそうなブナの巨木〉 |
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〈ブナや樅の美林の中を登り行く〉 |
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〈樅の樹々の間に石鎚山が覗く〉 |
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〈尾根に上がると、県境尾根の先に高知県の山が見える〉 |
〈筒上山へと延びる尾根筋に微かに踏み跡が続く〉 |
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〈標高1570m程の小ピークの先に筒上山が覗く〉 |
〈鞍部で高知県の山々を望む〉 |
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〈梅雨の中休み、ドウダンツツジの樹の上を夏空が覆う〉 |
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〈小ピークの頂上のシャクナゲの花が残っていた〉 |
〈満開のドウダンツツジ〉 |
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〈小ピークから筒上山、手箱山を望む〉 |
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〈ドウダンツツジの樹に登って石鎚連山を望む〉 |
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10:51〜10:55 丸笹山(1,535m)
国土地理院の地形図には丸笹山の名前も、標高1,535m地点の表記はない。登山地図にその表記があるので、それに従ってここに記している。丸笹山はピークの南側と東側が笹原で覆われており、東から南にかけての好眺望が得られた。東側正面には筒上山、手箱山が堂々と聳え、筒上山に至る縦走路の通る尾根も眼下に見ることが出来た。左に目を転じれば、岩黒山も見え、更に樹々越しに石鎚山も目にすることが出来た。この絶景に満足して引き返すこととした。笹漕ぎは決して楽しいことではなかったが、原生林の美しさ、素晴らしさ、就中ブナや樅の巨木、老木の発する迫力には圧倒されそうであった。
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〈丸笹山まで足を延ばすと筒上山と手箱山の美しい景観が得られた!〉 |
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〈筒上山の北にある岩黒山〉 |
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〈石鎚山から土小屋へと続く尾根〉 |
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〈高知県側の景観、太平洋は確認出来なかった!〉 |
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〈石鎚山、西ノ冠岳、二ノ森、堂ヶ森と続く尾根筋を望む〉 |
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〈丸笹山から小ピーク(標高約1,570m)を振り返る〉 |
〈四国の高峰の森らしい樹林の中を抜けて引き返す〉 |
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〈この尾根筋を今度は西に辿る〉 |
〈尾根を外れて笹倉湿原へと下る〉 |
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〈アッと声の出た樅の巨木!〉 |
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〈樅の美林を下る!〉 |
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11:51〜11:52 笹倉湿原
笹倉湿原の戻ってみると、朝の静寂の世界とは違って登山者14人の姿があり、かなり賑やかなこととなっていた。静寂の世界でランチタイムを取ろうと思っていたが、それは叶いそうもなかったので先に下って、清水の湧く五右衛門風呂の釜のある小沢で昼食を摂った。昼食を終えると後は下山するだけであった。原生林の美しい樹々に改めて感嘆しながら歩を進めた。
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〈笹倉湿原に下って来た〉 |
〈湿原には14人の登山者の姿があった!〉 |
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〈風呂釜のある沢筋でランチタイム〉 |
〈地元の方々が「セクハラの樹」と呼ぶ樹〉 |
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〈登山道の沿道は美林が続く〉 |
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〈登山口に下山〉 |
〈金山林道から石鎚山が望めた〉 |
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13:43 金山橋詰駐車場
朝方入山した時には、まだ谷間に陽が射さず薄暗ささえ感じたが、昼さがりの金山林道は明る過ぎる程に陽光に満ちていて眩しいほどであった。そんな中を、初期の目論見通りに笹倉湿原を見て、後背の筒上山縦走路の一端を探査出来て無事に金山橋へと下山した。
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〈金山林道の入口に戻った!〉 |
〈橋を渡ると駐車場〉 |
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〔山行所感〕
梅雨の中休みの一日だけの好天に恵まれて、楽しい山行をすることが出来た。期待通りの神秘的な笹倉湿原にはただ感嘆、後背の筒上山への縦走路の通る原生林の美しさ、素晴らしさは期待以上のものであった。稜線部から時折見える石鎚山から堂ヶ森にかけての山岳景観はただただ見事であった。
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〈この日の軌跡〉 |
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